2023年度のセミナー


第219回解析セミナー
日時 12月22日(金) 15:30〜17:00
場所 愛媛大学 工学部5号館5階 E551 (いつもと部屋が違います。)
講師 板倉 恭平 (東京大学)
題目 Resonance free domain for repulsive Hamiltonians and new distortion
要旨
2乗冪または劣2乗冪の球対称斥力ポテンシャルをもつ半古典的なシュレディンガー作用素に対するレゾナンスの非存在領域について考察する.一般にレゾナンスを調べる際にはダイレーションが用いられるが,今回は散乱粒子の古典軌道を反映させた新たなディストーションを導入する.本講演では,考えている電場に対しヴィリアル型の非捕捉的条件を課すことにより,半古典パラメータが十分小さければ実軸近傍にレゾナンスが存在しないことを見る.

第218回解析セミナー
日時 12月8日(金) 15:30〜17:00
場所 愛媛大学 理学部2号館2階 大演習室(201号室)
講師 小澤 徹 (早稲田大学)
題目 等式の枠組における不等式
要旨
コーシー・シュワルツの不等式やポワンカレの不等式をはじめとする基礎的不等式を等式の枠組で論じ、その証明・最良定数・非自明最適化函数の存在と特徴付け について、簡単で直接的な道筋を紹介する。
[1] T. Ozawa, D. Suragan, Sharp remainder of the Poincaré inequality, Proc. Amer. Math. Soc., 148 (2020), no. 10, 4235-4239.
[2] T. Ozawa, D. Suragan, Poincaré inequalities with exact missing terms on homogeneous groups, J. Math. Soc. Japan, 73 (2021), no. 2, 497-503.
[3] T. Ozawa, K. Yuasa, Uncertainty relations in the framework of equalities, J. Math. Anal. Appl., 445 (2017), no. 1, 998-1012.

第217回解析セミナー
日時 11月17日(金) 16:30〜18:00
場所 工学部5号館9階 E591
講師 津原 駿 (東北大学)
題目 半平面上のSchrödinger方程式における境界Strichartz評価と非線形問題への応用
要旨
本発表では, 半平面上で冪乗型非線形Neumann境界条件を課したSchrödinger方程式の初期値境界値問題を考察する. 半直線においては, Batal-Özsarı, Hayashi-Ogawa-Satoらが, 同様の問題の適切性を論じている. ここでは, 非斉次境界条件下のSchrödinger方程式に対して, 半平面上異方的なLebesgue空間を用いた境界Strichartz評価を新たに示す. さらに, 非線形問題に境界Strichartz評価を適用し, $L^2$劣臨界または臨界問題の適切性を示す. 本発表は, 小川卓克氏(東北大学), 佐藤拓也氏(熊本大学)との共同研究に基づく.

第216回解析セミナー
日時 7月14日(金) 15:30〜17:00
場所 愛媛大学 理学部2号館2階 大演習室(201号室)
講師 物部 治徳 (大阪公立大学)
題目 Spatial segregation of multiple species and free boundary problems
要旨
本発表では、競争系のLotka-Volterraモデルを考える。 ここでは特に、競争関係にある複数の個体群が混在する状況を考え、生息域の外にトラップを仕掛けた場合、これらの種がどのような条件下で伝播または絶滅するのかを考察する。本研究は、出原浩史(宮崎大学)とChang-Hong Wu氏(NCTS)の共同研究に基づく。

第215回解析セミナー
日時 6月30日(金) 15:30〜17:00
場所 愛媛大学 工学部5号館9階E591
講師 大江 貴司 (岡山理科大学)
題目 少数の点における波動場の情報に基づく源泉項の再構成
要旨
波動方程式の逆ソース(源泉)問題は騒音源推定や地震の震源推定など、さまざまな応用を持つ問題である。 この問題においては従来、波動場について源泉項の存在範囲を含むような領域の境界全体(もしくはその一部)における観測情報を与え、これを基に源泉項を再構成するという問題設定で研究が主に行われてきた。 それに対し、近年、問題設定として少数の点における波動場の観測情報に基づいて源泉項を再構成する、もしくはそのの可能性に関する研究が増えている。 本講演ではこれらの研究について、問題設定や提案されている推定手法等について紹介する。 また、源泉項が双極子によりモデル化される場合に対し、この再構成を4点における波動場の観測に基づいて行う手法に関する我々の研究結果を示す。本講演の内容は、横山美沙氏(岡山理科大学大学院)との共同研究に基づくものである。

第214回解析セミナー
日時 6月17日(土) 16:00〜17:00
場所 愛媛大学 理学部2号館2階 大演習室(201号室)
講師 内藤 雄基 (広島大学)
題目 A bifurcation diagram of solutions to semilinear elliptic equations with general supercritical growth
要旨
一般の非線形項をもつ半線形楕円型方程式に対する分岐問題を考える.非線形項が冪関数あるいは指数関数の場合は, Joseph-Lundgren 指数あるいは空間次元 N = 10 を臨界として分岐構造が大きく変化することが知られている.本講演では, 藤嶋-猪奥による一般化スケール則に基づく条件を導入することにより,非線形項の具体形を仮定しない広範な問題に対して 特異極解(Singular extremal solution)が存在するための条件,すなわち分岐曲線が単調となるための条件について考察を行う. さらに,応用として Trudinger-Moser 型などの優指数増大度の非線形項を持つ問題への適用を考える.本講演の内容は,宮本安人氏(東京大学)との共同研究に基づく.

第213回解析セミナー
日時 6月17日(土) 14:30〜15:30
場所 愛媛大学 理学部2号館2階 大演習室(201号室)
講師 田中 視英子 (東京理科大学)
題目 p-Laplacianの球対称固有値の挙動と単調性について
要旨
本講演では、Dirichlet 境界条件下でのp-Laplacian ($1< p< \infty$)の球対称な固有値の挙動(as $p\to 1+0$, $p\to \infty$)と単調性(w.r.t. $p$) について紹介する予定である。一般の $p$-Laplacian ($p\not=2$) の非線形固有値については未解決な問題が多く, 第一と第二以外の高い次数の固有値についての定義や解析は難しい。その為, $p$ が $1$ や $\infty$ に近づいたときの固有値の挙動についての結果は第一固有値に関するものばかりとなっている。本講演では、球や円環領域の場合に球対称な固有値に限れば高い次数の固有値に関しても、その挙動と単調性について結果が得られたことを紹介する。 本講演は、梶木屋龍治氏(大阪電気通信大学)と田中敏氏(東北大学)との共同研究に基づくものである。

第212回解析セミナー
日時 6月17日(土) 13:00〜14:00
場所 愛媛大学 理学部2号館2階 大演習室(201号室)
講師 橋詰 雅斗 (広島大学)
題目 スケールパラメータを含むTrudinger-Moser不等式の最大化関数の漸近挙動について
要旨
本講演では領域のスケールに関するパラメータを含むTrudinger-Moser不等式を扱う。B. Ruf ('05)、Y. Yang ('12)により 得られた不等式を達成する最大化関数に関して、スケールパラメータを無限大にしたときの挙動に関する結果を紹介する。 最大化関数はある非局所楕円型方程式の解となっており、Lin-Ni-Takagi ('88)、Ni-Takagi ('91)、del Pino-Felmer ('99)などの手法を応用してこの方程式を解析する。 Trudinger-Moser不等式内にある指数に依存して最大化関数の挙動は凝集現象と消失現象の2つに分かれ、さらに最大化関数の最大点の位置が領域の幾何学的性質に依存することを紹介する。 関連して、全空間Trudinger-Moser不等式を達成する最大化関数の性質についても紹介する。

第211回解析セミナー
日時 6月2日(金) 15:30〜17:00
場所 愛媛大学 工学部5号館9階 E591
講師 村松 亮 (東北大学)
題目 空間遠方で減衰する磁場中のシュレーディンガー方程式の解のモジュレーション空間における評価
要旨
モジュレーション空間は1983年にFeichtingerにより導入された空間であり, 二乗可積分空間と似通った性質を持ちつつ, 関数の大域的性質と局所的性質を同時にみる空間である. 本研究では, 磁場中のシュレーディンガー方程式の解に対する, モジュレーション空間における初期値による評価を考察する. 自由及びスカラーポテンシャル付きのシュレーディンガー方程式に対しては, 解のモジュレーション空間における評価が得られている (Bényi-Gröchenig-Okoudjou-Rogers(2007), Cordero-Gröchenig-Nicola-Rodino(2013), Kato-Kobayashi-Ito(2014)など). 磁場中のシュレーディンガー方程式に対しては, 磁場特有の一階微分項からくる周波数成分の増大のために従来の方法では解を評価することができなかった. 本講演では, 空間減衰磁場の場合に, 解のモジュレーションノルムを初期値のモジュレーションノルムで評価する評価式とその証明法について述べる. また, 磁場がある意味で短距離型の場合の結果についても紹介する. なお本講演は, 加藤 圭一 教授(東京理科大学)との共同研究に基づく.

第210回解析セミナー
日時 5月26日(金) 15:30〜17:00
場所 愛媛大学 工学部5号館9階 E591
講師 Jens Wittsten (Boras University)
題目 Mathematics of magic angles for twisted bilayer graphene
要旨
Magic angles are a hot topic in condensed matter physics: when two sheets of graphene are twisted by those angles the resulting material is superconducting. I will present a very simple operator whose spectral properties are thought to determine which angles are magical. It comes from a recent Physical Review Letter by Tarnopolsky-Kruchkov-Vishwanath. The mathematics behind this is a blend of representation theory (of the Heisenberg group in characteristic three), Jacobi theta functions and spectral instability of non-self-adjoint operators (involving Hormander’s bracket condition in a simple setting). The results will be illustrated by colourful numerics which suggest some open problems. This is joint work with S. Becker, M. Embree, and M. Zworski.

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