2020年度のセミナー
第191回解析セミナー
日時 | 1月22日(金) 13:30〜15:00 |
場所 | Zoomによるオンラインミーティング |
講師 | 池田 正弘 (理研) |
題目 | 非線形シュレディンガー方程式の定常問題と解の時間大域挙動 |
要旨 |
本講演では, 最近の浜野 大氏(埼玉大)とのいくつかの共同研究[1][2][3]の成果を報告したい.これらは, 空間変数に依存する線形ポテンシャルと冪型の非線形項を伴うシュレディンガー方程式の定常問題と解の時間大域挙動に関するものである.
[1]は, ポテンシャルのない定常問題の基底状態未満の解の散乱と爆発. [2]は, ポテンシャル付き定常問題の基底状態のNehari汎関数による特徴付けと基底状態未満の時間大域解の存在 [3]は, ポテンシャル付き定常問題の基底状態のVirial汎関数を含む一般の汎関数による特徴付けと基底状態未満の時間大域解の存在 [1] M. Hamano and M. Ikeda, Global dynamics below the ground state for the focusing Schrödinger equation with a potential, J. Evol. Equs., 20, (2020), 1131--1172. [2] M. Hamano and M. Ikeda, Global well-posedness below the ground state for the Schrödinger equation with a potential, Proc. Amer. Math. Soc., 148, (2020), 5193--5207. [3] M. Hamano and M. Ikeda, Characterization of the ground state to the inter critical NLS with a linear potential by the viral functional, Advances in Harmonic Analysis and Partial Differential Equations, 279--307. |
第190回解析セミナー
日時 | 12月18日(金) 16:30〜18:00 |
場所 | Zoomによるオンラインミーティング |
講師 | 高瀬 裕志 (東京大) |
題目 | Inverse problems for wave equations on Lorentzian manifolds |
要旨 |
Lorentz多様体上の連立線型波動方程式はEinstein方程式を線
型化することで得られる.簡単のため,本講演に限っては単独方程式の波源項決
定逆問題を考える.これまで,係数が時空間に依存する双曲型方程式に対する逆
問題解析への系統的な理解は不十分であった.そこで講演者はこの問題に対して
境界を持つcompact Lorentz多様体上での幾何解析を導入することで,主定理の
証明において重要な役割を果たすCarleman評価を証明し,さらに波源項決定逆問
題に対しHölder型の安定性評価を得た.
基礎的だが,本研究はもちろん幾何解析には欠かせない重要事項(多様体上の
Sobolev空間の定義,多様体上の楕円型作用素の$H^2$評価の張り合わせによる証
明,semigeodesic座標の導入)をはじめ,逆問題や一意接続性,さらには制御問
題への幅広い応用をもつCarleman評価の証明についても丁寧に紹介する.
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第189回解析セミナー
日時 | 12月4日(金) 17:00〜18:00 |
場所 | Zoomによるオンラインミーティング |
講師 | 瓜屋 航太 (岡山理科大) |
題目 | Asymptotic behavior of the solution to cubic nonlinear Klein-Gordon systems in one dimension |
要旨 |
本講演では, 3次の非線形項をもつ2本の非線形Klein-Gordon方程式の連立形を考察する.
空間1次元において3次の非線形性は解の長時間挙動が線形解で近似できるか否かの境目になっており,
一般に解の挙動を線形解で近似することはできないことが知られている.
この方程式系が未知関数の線形変換に対して閉じていることに着目し, 方程式系同士に同値関係を導入する.
方程式系の集合をこの同値関係で割った商集合を調べることにより解の漸近挙動を調べる.
この解析により, これまで知られていない新しい解の挙動をもつ方程式系を発見した.
本研究は, 眞崎聡氏 (大阪大学) , 瀬片純市氏 (九州大学) との共同研究に基づく.
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第188回解析セミナー
日時 | 11月13日(金) 13:30〜15:00 |
場所 | Zoomによるオンラインミーティング |
講師 | 戍亥 隆恭 (大阪大) |
題目 | スケール不変な消散項と質量項を持つ波動方程式の散乱とその漸近オーダーについて |
要旨 |
本講演では, スケール不変な消散項と質量項を持つ波動方程式について考える. Wirthによって, この方程式の解は修正された波動方程式の解に散乱することが知られている.
本講演では, Liouville変換とBöhme―ReissigによるL^2評価を用いることによって, この散乱の漸近オーダーが得られることを紹介する.
また, 時空間ノルム評価を証明することで, エネルギー臨界な非線形方程式に対して, 小さな解の散乱およびその漸近オーダーが得られることも紹介する. 本講演は, 水谷治哉氏(大阪大学)との共同研究に基づく.
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第187回解析セミナー(愛媛大学談話会との共催)
日時 | 10月30日(金) 16:30〜17:30 |
場所 | Zoomによるオンラインミーティング |
講師 | 金城 絵利那 (愛媛大) |
題目 | リーマン面のタイヒミュラー空間上の2つの距離について |
要旨 |
リーマン面(複素一次元多様体)の変型空間である,タイヒミュラー空間の距離について考察する.この空間では一般に,タイヒミュラー距離と呼ばれる,リーマン面の複素構造の差異を測る距離が定まる.またリーマン面が双曲型のとき,レングス・スペクトラム距離と呼ばれる,リーマン面の双曲構造の差異を測る距離が定まる.タイヒミュラー空間が有限次元のとき,この2つの距離は同じ位相を定めることが知られているが,無限次元の場合は,一般にそうではない.本講演では,リーマン面がある幾何学的条件をみたせば,2つの距離は同じ位相を定めること,さらに言うと,その条件をみたせば,2つの距離空間の間の恒等写像は局所双リプシッツになることを解説する.
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