2018年度のセミナー



第173回解析セミナー
日時 1月12日(土) 16:30〜18:00
場所 愛媛大学 理学部数学棟2階大演習室
講師 高橋太氏(大阪市立大学)
題目 monomial weight を持つ対数 Sobolev 不等式について
要旨
対数 Sobolev 不等式は,通常の Sobolev 不等式に現れる次元パラメーターを無限大にした際の極限形として捉えられ,発展方程式論・確率論・幾何解析など多くの分野に応用を持つ解析学における基本不等式の一つである. 本講演では,X.Cabre-X.Ros-Oton (2013, JDE) によって証明された monomial weight を持つシャープ Sobolev 不等式を用いて,monomial weight を持つ対数 Sobolev 不等式を導出し,関連する一連の関数不等式を紹介する.本講演は Filomena Feo (Universita degli Studi di Napoli ``Parthenope") との共同研究に基づく.


第172回解析セミナー
日時 1月12日(土) 14:30〜16:00
場所 愛媛大学 理学部数学棟2階大演習室
講師 比佐幸太郎氏(東北大学)
題目 非線形境界条件を持つ熱方程式の可解性について
要旨
本講演では半平面上の非線形境界条件を持つ熱方程式の可解性について考察する.この問題は爆発の作用をもたらす反応が境界上で起きている事から,初期値の台と境界の距離が可解性に対し, 何らかの影響を及ぼすと考えられる.しかし,その影響を明示した先行研究は未だに無いように思え,そこで本講演ではその影響を加味した可解性のための必要条件および十分条件の導出を目的とする.さらにそれらの条件を用いて原点における初期値が許容できる最も強い特異性の同定も行う.なお,本研究は東京大学の石毛和弘氏との共同研究に基づく.


第171回解析セミナー
日時 12月8日(土) 16:30〜18:00
場所 愛媛大学 理学部数学棟2階大演習室
講師 杉本充氏(名古屋大学)
題目 抽象的シュレディンガー方程式の初期値問題における平滑化評価式とその比較原理について
要旨
時間発展するシュレディンガー方程式の解には「平滑化作用」と呼ばれる現象が働くことが知られており,その多くは時空間評価式のひとつである「平滑化評価式」を用いて表現される.平坦な全領域での自由場における平滑化評価式の導出方法のひとつとして,講演者らによる「比較原理」を用いた方法論が知られているが,この原理がより一般の場合にも成立していることを,抽象的な枠組を用いて解説する.


第170回解析セミナー
日時 12月8日(土) 14:30〜16:00
場所 愛媛大学 理学部数学棟2階大演習室
講師 三宅庸仁氏(東北大学)
題目 薄膜の結晶成長に由来する四階放物型方程式の勾配爆発解の存在
要旨
本講演では薄膜の結晶成長に由来する四階放物型方程式の初期値問題を考察する. この問題はそのエネルギー構造から爆発解の存在が期待される一方で, 四階放物型であるが故の難しさのため, 爆発解の存在を示した結果は得られていなかった. 本講演の主結果は, 爆発解, 特にその勾配が爆発する解の存在を示すとともに, その爆発レートの下からの評価を与えるものである. なお, この結果は石毛和弘氏(東京大学)と岡部真也氏(東北大学)との共同研究に基づく. 講演では, エネルギー構造と基本解の減衰評価を組み合わせた証明の手法についてその詳細を述べる. また, 時間が許せば, 基本解を用いた四階線形放物型方程式の解の正値性についての考察も述べたい.


第169回解析セミナー
日時 11月30日(金) 16:30〜18:00
場所 愛媛大学 理学部S24講義室(場所がいつもと異なります)
講師 森岡 悠氏(同志社大学)
題目 音響波動方程式における非散乱エネルギーに対するWeyl則について
要旨
不均質性を持つ領域での音響波動においては, 入射した平面波に対して散乱波が発生する. この散乱波はS行列と呼ばれる作用素によって記述することができる. ところで, 入射波とその波数によっては, 散乱波が現れず, 入射波が透過するように見える現象が起こりうる. これはS行列が固有値1を持つことに対応しており, 対応する波数を非散乱エネルギーと呼ぶ. 本講演では, 一定の条件のもと, 非散乱エネルギーの分布が離散的であり, またその分布に関してある種のWeyl則が成り立つことに関して解説したい.


第168回解析セミナー(愛媛大学談話会と共催)
日時 9月20日(木) 15:30〜16:30(時間がいつもと異なります)
場所 愛媛大学 理学部数学棟2階大演習室
講師 水谷治哉氏(大阪大学)
題目 ポテンシャルを伴うシュレディンガー方程式のストリッカーツ評価について
要旨
非線形偏微分方程式を対応する線形方程式の摂動とみて解析する場合、 線形解の性質(正則性、有界性、減衰性など)をノルム不等式を用いて 評価することは重要である。非線形分散型および非線形波動方程式の時間大域的解析では、 対応する線形方程式のストリッカーツ評価が基本的な道具であることが知られている。 この講演では、無限遠方で減衰する実ポテンシャルを伴うシュレディンガー方程式の ストリッカーツ評価について、研究の背景、既知の結果と最近の進展などについて概説する。


第167回解析セミナー
日時 6月16日(土) 16:30〜18:00
場所 愛媛大学 理学部数学棟2階大演習室
講師 側島基宏氏(東京理科大学)
題目 2次元外部領域における半線形熱方程式の解の爆発について
要旨
本講演では,べき乗型の非線形項をもつ半線形熱方程式 の外部領域における初期値境界値問題を扱う. 3次元以上の外部領域における爆発問題は Bandle-Levine(1989), Zhang(2001)によって扱われており, 非線形項の冪$p$は$p\leq 1+2/N$(藤田指数)以下のときに 小さい正値解の爆発が起きることが知られている. 2次元にも同様の研究がなされているが, 本講演では,2次元の臨界冪$p=2$の場合の爆発解の挙動について考察する. 特に,2次元外部問題特有の爆発解の最大存在時間の評価 が得られたので,その結果を紹介したい.


第166回解析セミナー
日時 6月16日(土) 14:30〜16:00
場所 愛媛大学 理学部数学棟2階大演習室
講師 可香谷隆氏(九州大学)
題目 接触角条件付き1次元表面拡散に対する進行波解について
要旨
平面上の単純閉曲線を,面積保存型曲率流方程式と,表面拡散方程式 に沿ってそれぞれ動かした時,曲線内の面積保存や,円の安定性などの 類似した性質が見受けられるが,異なる性質も見受けられることが 研究されてきた.異なる性質の一つとして,面積保存型曲率流に おいては曲線の凸性を保存するが,表面拡散においては凸性の崩れが 起こることが挙げられる. 一方,岡山理科大学の下條昌彦氏との共同研究では,面積保存型曲率流に 対しては,特定の接触角条件を課すことにより,定常解ではなく進行波解が 安定した解として現れることを示した.本講演では,同様の境界条件を 課した表面拡散に対し,進行波解の存在性理論や,面積保存型曲率流に対する 進行波解との性質の違いについて考察する. なお,本研究は神戸大学の高坂良史氏との共同研究に基づく.


第165回解析セミナー(愛媛大学談話会との共催)
日時 4月20日(金) 16:30〜17:30
場所 愛媛大学 理学部数学棟2階大演習室
講師 橋詰雅斗氏(愛媛大学学振PD)
題目 Neumann型臨界Hardy-Sobolev不等式に関連する最小化問題
要旨
Sobolev空間から重み付きLebesgue空間への埋め込みに関する Hardy-Sobolev不等式に関して、その不等式に現れる最良定数を達成 する最小化関数の存在・非存在について考察する。 値域が無限次元空間の場合にのみ起こることがある有界作用素の 非コンパクト性がこの最小化問題にも影響し、最小化関数の存在は 非自明なものになっている。本講演ではNeumann型と呼ばれる境界 条件を課さないSobolev空間に関する不等式を考察し、この場合には、 領域のスケールの大小によって最小化関数の存在・非存在が分かれる という結果を紹介する。また最小化関数が存在した場合の、その関数 の性質について得られた結果も紹介する。


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