2021年度のセミナー


第200回解析セミナー
日時 12月10日(金) 13:30〜15:00
場所 Zoomによるオンラインミーティング
講師 田中 洋平 (信州大学)
題目 On enumeration of discrete eigenvalues for continuous one-parameter families of unitary operators
要旨
 It is a well-known result of T. Kato that given a continuous one-parameter family of square matrices of a fixed dimension, the eigenvalues of the family can be chosen continuously. In this talk, I am going to give an infinite-dimensional analogue of this result, which naturally arises in the context of unitary spectral flow. This intuitive topological approach to unitary spectral flow via continuous enumeration of eigenvalues appears to be missing from the existing literature. The ultimate purpose of this talk is to explain how the notion of continuous enumeration naturally leads to a variant of the celebrated theorem of Dold-Thom in algebraic topology. This is a joint work with N. Azamov and T. Daniels.



第199回解析セミナー
日時 11月26日(金) 13:30〜15:00
場所 Zoomによるオンラインミーティング
講師 森 竜樹 (武蔵野大学)
題目 細胞極性モデルの定常解の全体からなる曲面のパラメータ表示式
要旨
 Y. Mori, A. Jilkine and L. Edelstein-Keshet (SIAM J. Appl. Math., 2011)は, 細胞極性現象を理解するためにS.Ishihara, M.Otsuji and A.Mochizuki(Phys. Rev. E, 2007)で提案された数理モデルに由来を持つ, 積分制約条件付きの非線形境界値問題を提案した. この問題の解構造について考える. 本講演では, まず, 2次分岐が現れること, および, 分岐の方向について数学的な結果を示す. しかしながら, 分岐曲線のさらなる詳しい形状については未解明である. このことは解の安定性と密接に関係がある. したがって,分岐曲線のなんらかの解析的な表示式を探してきた. それが得られれば, それをもとに計算をおこない, 分岐曲線の形状の詳しい解析が可能となってくるからである. 本講演では, 探していた, 分岐曲線の陰関数表示が得られたことを報告する. なお, 本講演は辻川 亨(宮崎大学/明治大学), 四ツ谷 晶二(龍谷大学)との共同研究に基づくものである.



第198回解析セミナー
日時 10月29日(金) 13:30〜15:00
場所 Zoomによるオンラインミーティング
講師 藤井 幹大 (九州大学)
題目 異方的粘性項を持つ3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式の解の長時間挙動
要旨
 本講演では,3次元非圧縮性Navier-Stokes方程式で,その粘性項が水平方向の変数のみの2次元ラプラシアンからなる方程式の初期値問題を考察し,粘性項の異方性が解の長時間挙動に与える影響について注目する. 特に,速度場の水平成分の時間減衰率は2次元の熱核の減衰率と一致するが,速度場の鉛直成分の減衰率は3次元の熱核の減衰率と一致することを線形解析と積分方程式におけるDuhamel項の分解を行うことにより説明する. さらに積分方程式の分解によって解の時刻無限大での漸近系を具体的に決定できることを報告する.



第197回解析セミナー
日時 10月22日(金) 13:30〜15:00
場所 Zoomによるオンラインミーティング
講師 佐藤 拓也 (東北大学)
題目 Critical exponent and global behavior of solutions to the dissipative nonlinear Schrödinger equation
要旨
 冪乗型非線形項を備える消散型非線型Schrödinger方程式の初期値問題を考える。 非線形項の係数が実数となる二乗可積分ノルム(質量ノルム)保存系の場合と異なり、係数の虚部が負の場合は解の質量ノルムが時間について単調に減少する。 ここでは、解の質量ノルムの減衰・非減衰を分ける非線形項の臨界指数が存在することを示し、質量が減衰する臨界冪の場合では、解の質量減衰オーダーが空間変数に対する正則性に応じて変動することを述べる。



第196回解析セミナー
日時 7月12日(月) 16:30〜18:00
場所 Zoomによるオンラインミーティング
講師 國谷 紀良 (神戸大学)
題目 行動変容を考慮したSIR感染症モデルにおける周期解の存在について
要旨
 感染症の流行を表す数理モデルにおいて,感染者数が増えたときに人々が接触数を減らすように行動変容を行う状況は,接触項の一般化という枠組みで Capasso and Serio (1978) により初めて考察された. 出生と死亡の過程を含むSIR感染症モデルでは,接触項が飽和型の場合,解は感染症の定着あるいは根絶を意味するいずれかの平衡点に収束することが Korobeinikov (2007) によって示されている. 本研究では,飽和型の接触項に時間遅れの影響を考慮した場合,平衡点が不安定化して周期解が発生するホップ分岐が起こり得ることを示す. そのような周期解は感染症の再帰的な流行の波を表すと考えられる.



第195回解析セミナー
日時 7月5日(月) 16:30〜18:00
場所 Zoomによるオンラインミーティング
講師 堀田 一敬 (山口大学)
題目 Limits of multiple SLE and a Burgers Loewner differential equation
要旨
 2000年に導入されたSLE(Schramm-Loewner Evolution)は2次元統計物理学における様々なモデルのスケール極限を与えた.SLEは上半平面\(H := \{ \Im z >0\}\)上のランダム曲線を描く.通常のSLEでは1本の曲線を描くが,それを一般化した\(n\)本の曲線を描くmultiple SLEも研究されている.本講演では\(n \to \infty\)としたときの極限に関する研究結果を報告する.



第194回解析セミナー
日時 6月28日(月) 16:30〜18:00
場所 Zoomによるオンラインミーティング
講師 古屋 貴士 (北海道大学)
題目 散乱逆問題に対する未知領域の再構成について
要旨
 散乱逆問題とは,散乱した波からその散乱の原因を求める問題である. 超音波を用いてコンクリート内部の欠陥を検査する非破壊検査などの応用が考えられ,数学上では,放射条件を満たす外部領域のヘルムホルツ方程式の解の漸近挙動に現れる散乱振幅から,領域を求める問題として定式化される, 本講演では,monotonicity法と呼ばれる手法に基づいて,未知領域の再構成を数学的に考察する. monotonicity法とは,未知領域の再構成を反復的な最適解に委ねるのではなく,ヘルムホルツ方程式の特異解の特性を利用し直接的に再構成する手法である. テスト用の領域と未知領域との位置関係を判定する指標関数を散乱振幅を核とする有界線形作用素の固有値から構成し,その指標関数の発散具合によってテスト領域と未知領域がどの程度近くにあるのかを推定することができる. また,理論的な考察だけでなく,実際に指標関数の数値計算を行い,視覚的に未知領域が再構成されることも確認する.



第193回解析セミナー
日時 6月14日(月) 16:30〜18:00
場所 Zoomによるオンラインミーティング
講師 谷地村 敏明 (京都大学ASHBi)
題目 二相Serrin型優決定問題の解析
要旨
 Serrin型優決定(過剰決定)問題とは,Dirichlet境界条件に加えてNeumann境界条件が定数となる過剰決定条件を課したとき,方程式を可解とする領域を決定する問題である. 本講演では,介在物を考慮した二相におけるSerrin型優決定問題について考察する.特に介在物が球に近い場合の局所可解性及びKohn--Vogelius汎関数とH^1勾配法を用いた数値アルゴリズムについて説明し, 介在物の幾何学的形状が優決定問題の解となる領域にどのような影響を与えるかについて考察する. 本講演の内容は,Lorenzo Cavallina氏(東北大学)との共同研究に基づく.



第192回解析セミナー
日時 5月31日(月) 16:30〜18:00
場所 Zoomによるオンラインミーティング
講師 米山 泰祐 (北里大学)
題目 波束変換を用いた修正波動作用素の構成
要旨
 本講演では時間に依存した長距離型ポテンシャルをもつ1次元シュレディンガー方程式を考察する。 長距離型ポテンシャルは遠方でゆっくりと減衰する関数であり、その場合は散乱理論で用いられている波動作用素が存在しないことが知られている。そこで、波動作用素を修正した修正波動作用素というものいくつかが考えられているが、本研究では波束変換と呼ばれる変換を用いることで、既存の修正とは異なる修正波動作用素を構成し、散乱理論への適用を考える。 本講演は, 加藤圭一氏(東京理科大学)との共同研究に基づく。


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