北欧デザインの特徴を一言で表現するならば, 美しさと機能性を兼ね備えているということである. 四角いテーブルと丸いテーブルとでは, デザイン的にどちらが優れているのだろうか? 通常, デザインは何らかの目的をもって行われる. そして, その目的は時と場合によって変化する. 勉強や仕事をするためのテーブルを作ろうとする際には, テーブルの上に物がたくさん置けるようにデザインしたほうが, 目的にかなう. その意味では, 丸いテーブルよりも四角いテーブルのほうが適切である. しかし, 四角いテーブルは外見的に硬い印象を与えるので, 滑らかな曲線的イメージの室内空間を実現したい場合には, 不向きである. また, 4人で四角いテーブルを囲む場合は, 各辺に1人ずつ座れば良いが, 人数が5人になると, 5人目がどこに座るかが問題になる. この点, 丸いテーブルなら, みんなが少しずつ詰めれば, 問題なく5人目が座れる. こうしたことを踏まえると, お洒落なオフィスのインテリアには, どのようなテーブルをデザインしたら良いのだろうか? 四角くても丸くても, 必要とされるすべての要求を満たしてくれそうにはない.
そこで出番となるのが, 丸(円や楕円)と四角(正方形や長方形)の中間的な形をした, スーパー楕円である. スーパー楕円の理論が優れている点は, 丸や四角, そしてその中間的な形が, 数式を用いて, すべて統一的に表現できるということである. そして, この数式に現れるパラメータの値を変化させることで, 丸から四角へと, 形が連続的に変化する. このため, 物がたくさん置けるという機能性を重視したい場合は, 四角に近い形になるようにパラメータを選べば良いし, 丸みを強調したい場合は, 円に近くなるようにパラメータを選べば良い. このように, スーパー楕円は幅広いニーズに対応することが可能であり, しかも, 統一的な数式で記述できるため, コンピュータ上でも, 効率的に処理することが可能である.以上の理由により, スーパー楕円は, 正に美しさと機能性を兼ね備えている. スーパー楕円を活用したデザインは, 1900年代前半から中盤にかけ, スウェーデンの首都ストックホルムで行われた再開発の際に, 初めて登場した. 以後, スタジアムや家具, 食器などのデザインに適用され, 今日では, 北欧デザインの代名詞的存在になっている.