日時: 5 月 20 日(金) 16:30 〜 場所: 愛媛大学理学部数理科学棟2階 大演習室 講師: 岡野大 氏(愛媛大学・工学部) 題目: 代用電荷法による多重連結領域の数値等角写像 要旨: 等角写像の問題では,一般に与えられた問題領域に対し適当な標準領域が設定さ れ,両者の間の写像関数を求めるということが行なわれる.例えば複素平面中の単連結の 問題領域に対しては単位円周の内部や外部,半平面等が標準領域として考えられる.  多重連結の問題領域に対しては特定の標準領域を選ぶことができないので,自由度の一 部を留保し,写像関数とともに標準領域を定める必要がある.Nehari の標準スリット領 域は,複素平面ないし単位円板中に直線または円弧状のスリットを考え,スリットの位置 を未知のものとして,上述の自由度を留保した多重連結領域の等角写像の問題における標 準領域である.Nehari は,複素平面中にスリットを置いた非有界な平行・円弧・放射ス リット領域と,単位円板また円環中に同心円弧状のスリットを置いた単位円板/円環円弧 スリット領域という 5 種の領域を主要な標準領域として挙げている.  セミナーでは,一般に与えられた多重連結の問題領域と,Nehari の 5 種の標準スリッ ト領域との間の等角写像の写像関数を統一的に扱う数値等角写像の計算方法について,そ の特徴と利点を紹介する.