日時: 4 月 22 日(金) 15:00 〜 場所: 愛媛大学理学部数理科学棟2階 大演習室 講師: 中畑和之 氏(愛媛大学・工学部) 題目: 逆散乱解析の非破壊評価への応用 要旨: 建設材料に対して超音波を用いた非破壊評価を行う場合,部材の大規模性と非均 質性に起因して波動の高周波成分は減衰するため,低周波数域の波動を活用した損傷部の 定量的な評価法が求められている.  損傷部に超音波を送信し,その散乱波から損傷部の形状を推定(イメージング)する場 合,損傷の幾何形状と共に損傷部内の波動場が未知であるという点において非線形問題と なる.ここでは,損傷部からの散乱波の積分表現に低周波域で有効とされるボルン近似, 高周波域で有効とされるキルヒホフ近似を導入し,弾性逆散乱問題を線形化して解く線形 化逆散乱解析法を損傷部イメージングに採用する.  セミナーでは,本解析法を用いて実際の超音波計測によって損傷部のイメージングを行 った結果と,損傷部の形状再構成に対する低周波超音波の役割について述べる.また近年, アレイ探触子なる超音波センサーが工学分野で利用され始めており,このアレイ探触子の 特徴であるマルチチャンネルを活用した逆散乱解析法についても紹介する.