日時: 10 月 15 日(金) 15:00 〜 場所: 愛媛大学理学部数理科学棟2階 大演習室 講師: 宇田川誠一 氏(日本大学・医学部) 題目: Tzitzeica 方程式と曲面の微分幾何 要旨: Tzitzeica 方程式とは,周期的戸田方程式の特別な場合で,単一の方程式 (*) $\partial\overline{\partial}\omega=e^{-2\omega}-e^{\omega}$ になるものをいう.ここで,$\omega$ は 2 変数 $x, y$ の $c^{\infty}$-関数であり,複素パラメータ $z=x+\sqrt{-1} y$ を導入して,$\partial = \dfrac{\partial}{\partial z}, \overline{\partial}=\dfrac{\partial}{\partial\overline{z}}$ である.実際には,(*) の右辺の符号を変えたものもあり,(*) は楕円型 Tzitzeica 方程式,右辺の符号を変えたものを双曲型 Tzitzeica 方程式と呼んでいる.楕円型 Tzitzeica 方程式が現れる曲面論の例としては,6 次元単位球面内 $S^6$ の概複素曲線で,$S^6$ には full ではなく 5 次元単位球面 $S^5$ に full に入っているもの $f : M \longrightarrow S^5 \subset S^6$ とか,Hopf fibration により,Lagrangian 極小曲面 $\varphi : M \longrightarrow {\bf C}P^2$ などがある.実際,誘導計量を $ds^2=2 e^{\omega}dz d\overline{z}$ と表すとき,$\omega$ の満たすべき(曲面の)可積分条件が楕円型 Tzitzeica 方程式で与えられる.これらは,特殊解は Jacobi の楕円関数で与えられ,一般的な場合は,Riemann の $\theta$-関数(Prym $\theta$-関数)を用いて記述される.講演では,これらの説明と $S^6$ に full に入っている場合の問題に触れ,さらに,双曲型へのアナロジーが存在するかについてお話させていただく予定である.