第46回 解析セミナー

最終更新日: 2008年3月11日

日時:  3 月 17 日(月) 15:45 〜 17:15
場所:  愛媛大学理学部数学棟2階 大演習室
講師:  坂口 茂 氏(愛媛大学・理工学研究科)
題目:  不変な等温面による円柱面の特徴付け
要旨:   ユークリッド空間内の非有界な境界をもつ領域 Ω を考える.境界の温度を 1 に保ち,初期温度を 0 とする Ω 上の熱方程式の初期境界値問題の解 u に対して,この領域内の超曲面 Γ が任意の時刻で u の等温面になっているとき,Γ を不変な等温面という.本講演の目的は2次元の非有界な回転面を境界にもつ3次元領域 Ω が不変な等温面をもつならば Ω の境界は円柱面に限ることを示すことにある.荒く述べると, 証明は境界に接する球内の熱量の初期時刻での挙動の第2項の係数の性質をどのようにして知るかということにある.
 今までは第1項の性質のみにより,例えば,Ω の境界が有界なときは Ω の境界は一つの球面か2つの同心球面に限られることがわかっていた(2002年).つまり, 第1項と Ω の境界が有界であるという大域的な性質を合 わせると,Aleksandrof の球面定理(1958年)が適用できた.しかし,非有界な回転面を境界にもつ3次元領域 Ω に対しては,この方法が使えない.