第41回 解析セミナー

最終更新日: 2007年10月19日

日時:  11 月 9 日(金) 15:00 〜
場所:  愛媛大学理学部数学棟2階 大演習室
講師:  菊地 光嗣 氏(静岡大学・工学部)
題目:  障害物のある振動方程式の解のミニマイジング・ムーブメント法による構成
要旨:   弦をテーブル面などの障害物の近くで振動させると当然弦は障害物にぶつかり振動が乱れる.この問題は1980年代に M. Schatzman や丸尾健二氏により研究され吉田近似等を用いて解が構成されているが,本講演ではこの問題の解をミニマイジング・ムーブメント法を用いて構成する.
 ミニマイジング・ムーブメント法とは時間を差分化し空間変数に関する楕円型方程式を汎函数最小化の方法を用いて解くという近似解法である.ミニマイジング・ムーブメントの理論は De Giorgi により提唱されたものであるが,この近似法自体はそれ以前に Rektorys が放物型方程式を解くのに用いたのが始まりである.この方法は菊池紀夫氏により再発見され,その後,1994 年に立川篤氏により2階半線形双曲型方程式に適用できることが指摘された.また本講演者はこの方法を2階準線形双曲型方程式に応用したがその場合には極限がエネルギー保存則を満たすことを仮定しなければない.今回取り上げる方程式は半線型方程式よりは非線形性が強いものの,空間次元が1次元の場合には解の構成が出来たので報告する.なお,2階双曲型方程式に対しては一般にはミニマイジング・ムーブメント法によって得られた解は吉田近似によって得られた解とは異なっている.時間があればそのあたりについてもふれたいと思う.