第39回 解析セミナー

最終更新日: 2007年6月15日

日時:  6 月 22 日(金) 15:00 〜
場所:  愛媛大学理学部数学棟2階 大演習室
講師:  門脇 光輝 氏(愛媛大学・理工学研究科)
題目:  消散境界条件を持つ波動方程式に対する固有関数展開
要旨:  1次元有限区間において消散境界条件(Lossy condition)を伴う波動方程式の解が,固有関数によって表示可能(固有関数展開可能)であるかを考察する.問題は,境界条件がディリクレやノイマンの場合と同じ変数分離法によって初等的に解かれる.しかし,解を構成する際には,定常問題(固有値問題)の解のみならず,その共役定常問題の解も合わせて扱うことと,解を二乗可積分空間(L2)ではなく,エネルギー空間で構成することが本質となる.また,定常問題の解のエネルギー空間における完全性も少し問題になるが,これは古典的なフーリエ級数の理論に帰着することで処理できる.結果はある特殊な場合を除いて肯定的に得られる.ちなみに,除外される場合は,固有値どころかスペクトルそのものが存在しない(レゾルベント集合が複素数全体に一致する).