第23回 解析セミナー

最終更新日: 2005年11月30日

日時:  12 月 9 日(金) 15:00 〜
場所:  愛媛大学理学部数学棟2階 大演習室
講師:  名和範人 氏(大阪大学・基礎工学研究科)
題目:  擬共型不変な非線形シュレーディンガー方程式の爆発解の漸近形状と爆発オーダーのある関係について
要旨:  最近,Perelman や Merle-Raphael による精力的な研究によって,擬共型不変な非線形シュレーディンガー方程式(L2 臨界な場合)の基底解直上付近の爆発解が loglog law と呼ばれる爆発オーダー(雑に言って,自己相似羃より重対数の分だけ早い)を示すことが証明された.この爆発オーダーは,数値計算や漸近解析では正しいとされ,長い間の懸案であった.
一方で,よく知られた,擬共型変換を用いて作られた爆発する特殊解や,それらを組み合わせたり摂動したりして作られた爆発解などは,より早い爆発オーダー(擬共型羃)を示している.現在のところ,少なくとも2種類の爆発オーダーが数学的に確認されているわけだが,Fibich-Gavish-Wang においては,自己相似羃を示す爆発解の存在の可能性も示唆されており,状況は複雑である.
爆発オーダーの違いは,爆発解の漸近形や極限形状と深く関わっていると考えられるのだが,それに関してひとつの結果をお話ししたい.また,「大きな」爆発解の爆発オーダーの問題解決へ向けて,Nelson 過程と呼ばれる,シュレーディンガー方程式の個々の解に付随した確率過程を用いる試みも,できれば紹介したい:上記の特殊解の爆発オーダーより「小さい」という仮定のもとでは,普遍的な解の構造とし,爆発オーダーに対して loglog law が成立しているようである.