第19回 解析セミナー

最終更新日: 2005年6月29日

日時:  7 月 8 日(金) 15:00 〜
場所:  愛媛大学理学部数理科学棟2階 大演習室
講師:  大下承民 氏(北海道大学・電子科学研究所)
題目:  activator-inhibitor 系における水玉パターンの構成
要旨:  反応拡散系は,物理・化学・数理生物学などにおけるパターン形成の数理モデルとして使われてきた.2種の拡散物質のシステムでそれらの拡散係数の比が極端に小さいときには,一様環境下であっても複雑でおもしろいパターンがよく見られる.このようなケースを扱うために,ここでは,あるクラスの activator-inhibitor 系においてその拡散係数比を 0 にもっていく特異極限問題を考察する.このとき極限状態が何であるかを見極めることが重要である.ここでは双安定性のために領域が2つの相に分離し,それらの間が薄い層(遷移層)となるパターンを考える.極限ではその遷移層の幅が 0 に近づき,一般に界面と呼ばれる領域内部の不連続面が生じる.従って,特異極限においてこの界面の位置と形を求めるという問題が生じる.これは一般に曲率依存型の方程式となる.これについては類似の方程式で多くの研究もある.しかしながら,あるパラメータスケーリングでは,形が収束するようなおとなしいパターンが現れず,解の典型的な長さスケールが非常に小さくなるため,対称性を持っている場合を除いて解を求めるのは非常に難しい.ここではあるパラメータ範囲において水玉パターンの解の構成について考察する.